エレベーターでの小さな出逢い

2011-11-06
MAYUMIの旅びと生活。

最近、朝になってから寝る生活に、戻っている。
今朝も寝たのは朝7時だった。
夜は長いが、仕事をしていると、あっという間だ。
さて、一度だけの小さな出会いでも、ずっと記憶に残る人がいる。
その男性の会話も姿も、はっきりと覚えている。
それは、東京駅に隣接するデパートのエレベーターだった。
上階のレストランで編集者と打ち合わせをして、台湾に戻る飛行機の時間が迫っていたため、
急いでひとり、エレベーターに飛び乗った。
そこに一人でいた男性は、70歳過ぎだろうか。
やさしそうな紳士で、ニコニコした笑顔で「1階でいいですか?」と声をかけてきた。
私も一人だと思ったのか
「私も一人でね。一人で食事するのが、イヤになります。
 親の世話をしなきゃいけなかったから、ずっと結婚はしなかったんですよ。
 その親もいなくなった。もう、生きているのが、面倒になります。
 早く逝ってしまいたいと思うこともある……」
決して深刻そうではなく、ひとりごとを言うように
淡々と静かな口調だった。
私は、ただ、
「そうでしたか…・・」
と聞くしかなかった。
自分よりも長い時間を生きてきた人に対して、
「生きていれば、いいこともありますよ」
などと励ますのも、失礼な気がした。
「お元気で……」
1階につき、お互い笑顔で別々の方向へ歩き始めた。
たったそれだけの会話なのに、
その男性のことをときどき思い出す。
亡くなった父に、雰囲気が似ていたからかもしれない。
私は父に寂しい思いをさせていたんじゃないだろうか。
男性はいま、どこで、どう暮らしているんだろう……。


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