生きるための課題。

2011-03-10

「なんにもしたくないの」
母が言った。
父が亡くなって以来、毎日のように電話しているが、最近、ちょっとした“うつ”がやってきた。
「デイケアで、簡単な知能テストをすると、いつもいちばんなのよ。
人から課題を出されると、がんばるんだけど、なにもないとダメ。気力がないの。
自分でやることを見つけることができればいいってわかっているんだけどね」
子どもを育てるためにがんばって、看護師として人の世話をしてきた。
退職してからは、病気がちの父の世話。
でも、子どもも孫もそれぞれやっているし、父もいない。
仕事もない。
弟のお嫁さんが
「お母さんは、いままでずっと人の世話をしてきたから
 もう人のお世話になって、ゆっくりしてもいいんですよ」
と言ってくれたそうだ。
「でも、なんだか人のお世話になることに慣れていなくってね」
と母。
わかる。母は、なにか“課題”が欲しいのだ。
だれかのため、なにか成果を出すためだったら、一生懸命がんばる人だ。
かつて「本でも読んだら?」と、何度か本を送って課題を与えてみたが、
そんな課題じゃ満足しない人だ。
人に喜んでもらたり、人の役にたったり……という“手応え”がほしいのだ。
私だって、年をとったら、そうなるだろう。
いや、多かれ少なかれ、みんな、いつでも、自分がやったことへの
“手応え”を求めて生きているんじゃないだろうか。
なにか課題はないだろうか、と考える。
母の底力を信じたい。
もともとパワフルな人だから、スイッチが入ったら元気になるはず。
母のうつがひどくなるようだったら、大学院を休学して日本に帰ろう。
……台湾から祈る気持ち。

MAYUMIの旅びと生活。

Copyright© 2017 有川真由美オフィシャルサイト All Rights Reserved. L

お仕事のご依頼や質問などは、こちらからお願いします。
担当者よりご連絡いたします。⇒Mail