言葉のでき方

2012-03-07
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暑い日だった。

教室では、エアコンがガンガン効いている。

今日は翻訳についての授業。

欧米文化が盛んに入るようになった明治初期。

日本には、「society」という英語にあたる日本語がなかった。

明治6年(1873)の、英和辞典では。

society =会(ナカマ)、会社(クミアイ)、連衆(レンシュ)、交際(カウサイ)、

合同(イッチ)、社友(シャチュウ)

英語のsocietyには、広義と狭義があるが、

日本には、新聞社、婦人会など、狭い範囲の言葉はあっても、

広い範囲の言葉はなかった。

「国」とか「藩」とかいう言葉は身分の集まりであり、

「個の集まり」ではなく。

つまり、societyに対応するような現実が日本になかったということ。

individual(個人)という考え方も、当時の日本にはなかった。

そこで、翻訳者たちは、苦労した。

福沢諭吉は、初期は「人間交際」などと訳しているが、

『学問のすすめ』あたりから、「社会」という言葉が用いられている。

「社会」という言葉は、最初からあった言葉ではなく、

新たな概念を表現するために、学者たちによって人工的に作られた和製漢語。

翻訳者たちは、あれこれ用いているうちに、

「わかりにくいが、使いやすい」

という「Society = 社会」という言葉に落ち着いていった。

「わかりにくい」からこそ、乱用されて、広まりやすいのだ。

別な言語に置き換えて、意味を伝えるには、概念や考え方を理解しなきゃ伝えられない。

当時の翻訳の苦闘って、タイヘンなものだっただろう……っていうお話。

ちなみに、これを発表してくれたのは、アメリカ人のRちゃんで、

英語には、日本の「義理」とか「本音」「建て前」にぴったりくる単語がないらしい。

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